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扉の中にあったのは、期待した黒い塊でもなければ、殺風景なコンクリートだけの空き部屋でもなかった。
そこには、少女よりも幼い少年がいた。少年は突然の訪問者を見て、驚いた表情を浮かべ、そして微笑んだ。
『あ……』
思わず、声を漏らした。直感的に思う。きっと私の弟だ。
少女が自分の身を危険に晒してまで探した弟をやっと見つけたのだ。
そう思った時、少女の視界の半分が紅に輝いた。それと同時に、少年の左目が紅に染まる。
その光景を見て数秒後、少女は、視界の半分を染める輝きが自分の左目から発せられていることに気付いた。思えば、左目の痛みも頭痛もしない。
まるで、少女と少年の左目が共鳴するように輝きを増し、二人を包むように膨れ上がる。
ガツッーー
空想世界の光景かと思われる紅の輝きが信じられず、戸惑っていた少女は、背中からの圧力で現実に返った。
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