序章

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   本当の気持ち。  これは誰も理解出来ないだろう。  私は、「強さ」を求めてきた。  だけど、不完全な人間では  「強さ」に限界があった。  それは自分が一番  よく分かっている。  それでも周りの人々は  私が強いと思っている。  そう在ることを望んでいる。  そんなことはないというのに…  単なる理想だということに  気付きもしない。  最初は周りの雰囲気で  「自分は強い」と思い込んだ。    しかし、心配なことや  恐れることは誰にだってある。  私ももちろん例外ではない。  1つの過去の記憶を「恐怖」を  ひきづっている。  でも、それを表に出すことは  出来ない。  他人の落胆した、  憐れみの視線を向けられると  分かっているから。  いつからだろう。  強い自分を演じ続けていた。  気付けば自分は世界を  拒絶していた。  本当の弱い自分は必要と  されていない。  だから、知られてはならない。  知られたくない。  そう思った。
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