第一章《始まり》

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   その光景こそが少女の日常だった。黒い部屋に場違いなピンク色のタオルケットを身体から放し、ベッドから出て来る。  少女が身に付けているのは、やはり黒のルームウエア。少女は壁に掛かっている服に手を伸ばし、着替え始めた。  首に付けられたブラウンのチョーカーで揺れる三日月のチャームが暗闇の中、煌めく。  少女は、薄暗い部屋で器用にも数分のうちで着替えを終えたようだ。机の上にあるランプに手を伸ばす。  ランプから零(こぼ)れだした光は、少女の全身を浮かび上がらせた。  肩から胸元までは革紐が交差してつながり、そこからはクリーム色の革で作られたような服である。身体にぴったりとしていて、白い腕は露出されていた。  そして、七分丈ズボンを着ている。ぴったりとした服とは反対に緩めで、中央は膨らみ、裾は細くなっている。右側にある膝からウエストまでの編み上げとリボンが目立った。
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