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洒落た造りのトレイの上には、中世ヨーロッパの貴族が使用するような銀食器がのせられている。銀食器の中を満たすのは、湯気をたたせるシチューとパン。
少女は、そのトレイを質素な机の上に置く。机に付属する椅子に座り、スプーンを握った。
シチューを掬(すく)い、口に運ぶ。濃厚な味が口一杯に広がった。といっても、毎日同じ朝食では感動もしない。
少女は、胸騒ぎを鎮められるかもしれないと温かいシチューをひたすら流し込んだ。
そういえば、この部屋からは温もりが感じられない気がする。ただ寂しいという印象しか与えない。生活感が見えないからだろうか?
あっという間にシチューの皿は空になっていた。濃厚なシチューは、心を残し、身体中を温めた。
少女は息を吐き出し、パンをのせたままのトレイを鉄格子の扉近くの床に置く。漆黒の床は意外にも柔らかく、トレイを静かに受け止めた。
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