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重々しい音がして、鉄格子が開く。
少女は、部屋から出た。
この後の流れは理解出来ている。いつもと変わらない日常だからだ。しかし今日は、少し違った。
先程まで、巡回していた警備員達が五人くらいのグループになって、慌ただしそうに走っている。
少女を部屋から出した警備員に、気付いたグループが近付いてきた。耳打ちによる現状報告でもしているようだ。
「………隊が…………に……です」
少女は、耳を澄まして情報を得ようとするが、部分的にしか聞こえてこなかった。
この国の政治の情勢が乱れていることは知っている。何が起こったのだろう。
少女に現状を知る術はない。知ってもどうすることも出来ないと割り切る。
しかし、その真実は目の前に現れた。
「侵入者だぁ!」
「こんな地下にまで!?」
「ヤツを止めろっ!!」
取り乱した警備員達が声を上げた。
ここは、侵入者を許したことがない。それ故の大事件だった。
「うぐぁぁ…」
「隊長ッ!」
警備員は侵入者を前に次々と倒れていく。相当な手練れだろうか。
この場を任せられる警備員は、レベルの高い人間のはずだが、全く相手にならないようだ。
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