第一章《始まり》

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   重々しい音がして、鉄格子が開く。  少女は、部屋から出た。  この後の流れは理解出来ている。いつもと変わらない日常だからだ。しかし今日は、少し違った。  先程まで、巡回していた警備員達が五人くらいのグループになって、慌ただしそうに走っている。  少女を部屋から出した警備員に、気付いたグループが近付いてきた。耳打ちによる現状報告でもしているようだ。 「………隊が…………に……です」  少女は、耳を澄まして情報を得ようとするが、部分的にしか聞こえてこなかった。  この国の政治の情勢が乱れていることは知っている。何が起こったのだろう。  少女に現状を知る術はない。知ってもどうすることも出来ないと割り切る。  しかし、その真実は目の前に現れた。 「侵入者だぁ!」 「こんな地下にまで!?」 「ヤツを止めろっ!!」  取り乱した警備員達が声を上げた。  ここは、侵入者を許したことがない。それ故の大事件だった。 「うぐぁぁ…」 「隊長ッ!」  警備員は侵入者を前に次々と倒れていく。相当な手練れだろうか。  この場を任せられる警備員は、レベルの高い人間のはずだが、全く相手にならないようだ。  
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