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侵入者が少女の目の前に現れるまで、五分と掛からなかった。侵入者の接近に伴い、少女の周りには近くにいた警備員が集まってくる。
少女はすぐに警備員に囲まれ、外部からその姿を見ることは難しくなった。
「国の最重要機密を任せられてるわりにたいして強くないじゃねぇか。」
聞こえて来たのは少年のような声だった。視界は遮られているものの、かろうじて声は聞こえてくる。
続いて、金属が擦(こす)れる音が響く。その直後、視界は開いた。
そこに見えたのは、少女より少しだけ背の高い少年。同い年かもしれない。
少年は矛のような武器を振るい、残りの警備員を倒していく。見たことのない武器だったが、少年は相当扱い慣れているようだ。
そんな少年の前に警備員達は歯が立たない。
少年は少女の前へ進み出る。少女は身構えた。腕には自信がある。
「あんたがフォレアーナ国第三皇女ヨミ・フィス・フォレアーナか?」
ぶっきらぼうな口調で言い放った。皇女殿下か確かめているわりには、敬意の欠片すら見せない。ヨミと呼ばれた少女は警戒を解かないまま、言った。
「自分は名乗らないのに、相手に名乗らせようとは気に入らないな。」
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