序章

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   それなのに、密かに感じていた。  心の中に存在する本当の声。  ”誰かに気付いて欲しい”  ”私は、弱いんだ”と。  とは言っても、  私を護る堅い殻を壊せるものは  誰一人としていないだろう。    自分の作った拒絶の壁は  大きく厚い。  不思議だった。  強い人間を演じる自分には  誰も近づいて欲しくない。  触れられたくない。  それでいて、心のどこかでは  触れて欲しいと思っている。  私は、世界を知らない。  知っているのは  この部屋と建物の一部だけだ。  そもそも、この建物の外に  出たことがなかった。  だから、感情に出逢わない。  本当は感情に触れたいだけ  なのかもしれない。  だとしても、世界はその答えを  与えてはくれないのだ。  ◇◆◇◆◇◆  少女は混沌を心に秘めて  戦場を舞うことになる。  
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