5人が本棚に入れています
本棚に追加
ユウキはそう言い放った。国王のいるこの城で。
「そうか。」
対するヨミの反応は素っ気ないものだ。嫌な顔一つしない。
「意外だな。オレは国王に忠誠なんてねぇんだぞ?」
「だからなんだ?国王など地位という形だけのもの。最近は情勢も不安定で反乱も起きかねないらしいからな。私もあいつは信用していない。」
「はっ。よく言うな。あんただって身分だけのお姫様じゃねぇか。オレ達国民から金を奪い、悠々自適に暮らしてるんだろ?」
ユウキは、嫌みを含ませてそう言って、少女を見る。
「なっ!?」
見ようとしたのだが、そこに少女の姿はない。目を見張るユウキの眼前に少女は現れた。
少女の手には、どこから取り出したのか、短剣が存在した。刃先を下向きに柄をしっかり握っている。
ヨミは、大きく右に振りかぶってユウキに向かって飛びかかった。
(オレが気付けない速さで………でもっ!)
「こんな簡単な軌道なら読めるぜっ!!」
ユウキはそう言い、自分の左前方から迫る短剣を、持っていた矛で受け止めた。
金属の擦れる音が響いた。それも束の間、ヨミが短剣で押し切ろうとする。
最初のコメントを投稿しよう!