第一章《始まり》

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   ユウキはそう言い放った。国王のいるこの城で。 「そうか。」  対するヨミの反応は素っ気ないものだ。嫌な顔一つしない。 「意外だな。オレは国王に忠誠なんてねぇんだぞ?」 「だからなんだ?国王など地位という形だけのもの。最近は情勢も不安定で反乱も起きかねないらしいからな。私もあいつは信用していない。」 「はっ。よく言うな。あんただって身分だけのお姫様じゃねぇか。オレ達国民から金を奪い、悠々自適に暮らしてるんだろ?」  ユウキは、嫌みを含ませてそう言って、少女を見る。 「なっ!?」  見ようとしたのだが、そこに少女の姿はない。目を見張るユウキの眼前に少女は現れた。  少女の手には、どこから取り出したのか、短剣が存在した。刃先を下向きに柄をしっかり握っている。  ヨミは、大きく右に振りかぶってユウキに向かって飛びかかった。 (オレが気付けない速さで………でもっ!) 「こんな簡単な軌道なら読めるぜっ!!」  ユウキはそう言い、自分の左前方から迫る短剣を、持っていた矛で受け止めた。  金属の擦れる音が響いた。それも束の間、ヨミが短剣で押し切ろうとする。
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