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二歳の時からついていた家庭教師に「世界は広い」と教わった。でも少女にそれは理解出来なかった。少女の知る世界はいつもの日常を送る小さな部屋だけ。だから、それを知ることは不可能だった。
城を出たいとは思わなかったが、この城のことくらいは出来るだけ知りたいと思った。少しだけ興味が湧いた。こんなにも広い城について、全てを見て、知ることが出来るなら、世界の欠片が見えるかもしれない。ただの子供の好奇心だった。
それから一年くらいかけて、城の至る所に連れて行ってもらった。少女は、たくさんのことを知った。城を回り尽くすと世界に出てみたいと考えたりする。
そんなある夜、少女は、自分の部屋の前で話す大人達の声を聞いた。おそらく、城の警備員だろう。緊張したような雰囲気で話をする女性の声とつまらなさそうに話を聞く男性の声だ。
『ここの地下に秘密裏に造られた
戦闘兵器があるって、噂を聞い
たんですけど…』
『あぁ、そうらしいな』
『それに、怪しい実験もどうとか
って…!』
『俺もそんな噂を聞いたな』
だんだんまくし立てるような口調になる女性に、相変わらずの平坦な口調で男性が言葉を返す。そんなやり取りだった。
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