第一章《始まり》

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『知っているなら、どうしてそんなに無関心なんですかっ!国の一大事なんですよっ!!』 『だからだ。俺達が下手に動いて、そんな厄介な実験に参加させられたらたまんないだろうが…』 『……た、確かにそうですけどっ!でも、皇女殿下の弟さんも隔離されてるとか…』 『おいっ!皇女殿下の部屋の前でそういうことを言うな。聞こえてたらどうするんだ。その話はここまでだ。』 『はい…』  少女に話の内容が理解出来たわけではない。分かったのは、<地下>という自分がまだ行ったことのない未知の場所が存在することだけだ。少女はすぐに<地下>という場所に興味が湧いた。  それと、気になる点がある。 (私に弟はいない…) 結局、出した結論は「行って見れば分かる」という至極シンプルなもの。  そして、今に至る。  翌朝、世話係に地下に連れて行って欲しいと頼んだのだが、大層驚いたような顔をし、地下なんてないとはぐらかされてしまった。だから、少女はこっそりー人で入り込んだ。
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