『始まりの終わり』

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放課後、誰もいない教室でワタシは泣いていた。 今日、彼が転校した……。 彼は、ワタシに何も言ってくれなかった。 ワタシと彼の関係はそんなものだったのかな? クラスで一番仲が良かったと思っていたのは、ワタシだけみたいだ……。 今日、彼の転校を担任から聞いたときショックで頭が真っ白になった。 今になって改めて彼の事が好きだったと思った。 何で言わなかったんだろう……。 違う、言わなかったんじゃない。 言えなかったんだ。 怖かったんだ、今までの関係が壊れるのが、ワタシはあの少女のようには出来ない。 ふと辺りを見ると教室が暗くなっている事。 いつの間にか日が傾いていた。 帰らないと……。 帰り支度をするためにバックを開けると、ワタシのではないが、よく見慣れたノートが鞄の中に入っていた 「まかさコレって……。 でも何で……。」 震える手でノートを開く 『名無しの君へ』 〈何も言えなくてゴメン。 なんか言い出せなくて、先延ばしにしてたら転校する日になっちゃった 一応、小説は終わりまで書いたのをカバンに入れておいたから。 良かったら読んで これも言えなかったんだけど……。 僕はキミの事がずっと好きでした。〉 「なんだ、ワタシが名無しの君ってバレてたんだ……。」 ノートが涙で濡れた。 「ワタシも好きだよ。」 誰もいない教室でワタシは呟く。
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