『はじめに』

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つまらない…… 何で、学校の授業ってこんなにつまらないんだろう…… ワタシは黒板の前で、なにやら小難しい事を言っている、歴史担当の痩せこけて、年老いた女教師、通称『枯れ葉』を、ボオッと見つめていた。 大体昔の事なんか知った所で何の意味があるのかしら? 退屈、退屈、退屈……。 退屈過ぎてあの助教師みたいにヨボヨボのお婆ちゃんになってしまうわよ。 なんか面白い事ないかなあ…… とか考えてたら横の席の女子につつかれた、 「アンタ枯れ葉に指されてるよ。」 「へっ?」 慌てて顔を上げて黒板の方を見ると枯れ葉がジッとワタシの方を見ていた。 「アナタこれ解る?」 いきなりそんなこと言われても困ります。 だって全然聞いてませんでしたから…… そんなワタシを見透かしたように、枯れ葉はニヤリと笑い 「ホラ、答える時は立って答えなきゃ駄目よ。」 「ハ、ハイ!」 立とうとしたとき膝が机に当たった咄嗟に手を伸ばすが時すでに遅し、けたたましい音と共に机の中身を派手にぶちまけてしまった。 教室が一瞬静かになった が、次の瞬間には、笑い声に変わっていた、 「アラアラ……まったく何をしてるのかしねぇ」 顔が真っ赤になっているのが分かる 急いで机を 直して机の中身を仕舞っていると、 一冊のノートが目に留まった。 『桜色』   ノートの表紙には、そう書いてあった。 何これ? 『さくらいろ』って読むのかな? いつの間にか授業は再開していて周りも枯れ葉の小難しい説明を聴いている。 気になる、一体何が書かれているんだろう。 悪いなと思いつつもワタシはノートを開いた 些細な罪悪感はワタシの好奇心には、勝てないのだ。
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