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そう。持ち込まれた琵琶の憑き物落としを頼まれたのである。飛翔と言う名の琵琶だった。
その琵琶は長年受け継がれてきた。
古いものには何かが宿る。
その琵琶もそうであった。
「憑き物、と言うても害のないものであった。しかし、飛翔の持ち主はそれでも。と頼んできた。」
しかし人に飛翔と呼ばれて宝とされた琵琶には自然に宿ってしまったのだ。落とすと言っても処理はできない。
「飛翔は魂を宿してから奏者を選ぶようになってしまったからな。持ち主が落とせと言うのも無理はないのだが。」
早苗は黙って聞いている。
誰よりも母上のことは晴明が知っているからである。
「俺はとりあえず飛翔殿と話すことにした。何故奏者を選ぶのか、と。」
「・・・」
「そのとき飛翔殿はこう言ったのだ。我が主の腕といったら聞くに耐えられません。とな。楽器が言うのであるからよほどであろうよ。」
晴明はここで息をつく、
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