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ー恐ろしいことになった 賀茂保憲は焦りながら思った。 何も依頼されたものが恐ろしいのではない。博雅を巻き込んでしまった。 それだけならまだしも行方不明になってしまった。博雅の身に何かにあれば晴明が黙っていないだろう。 ーもうそろそろ北山から帰ることになっておる。どんな目に遭うか きぃ。 音を立てて牛車が止まる。 何事かと保憲が思う前に冷ややかな気配が・・・ ぱさり。 御簾を上げるとそこには暗闇に浮かぶような白い狩衣、透き通るような色白の顔、紅を含んだような紅い唇。 体全身から不・機・嫌の文字が浮き出でいるようだ。 「晴明お久しぶりじゃな」 「これはこれは保憲様。このようなところで出会うとは奇遇ですな。」 全くもって奇遇なわけがないわ。保憲は苦笑した。 「積もる話もあろう。ひとまず我が屋敷へ来ぬか?」 保憲は誘った。 「そうですね。何やら都におかしなものが出るようですしその話でも。」 そういうそばから晴明の周りにとんでもない殺気が満ちる。 ともあれ二人は保憲の屋敷へ向かった。
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