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「その楽の音、音は良いのだがいかんせん演奏している腕が酷いらしい。」 「しかしそれならわざわざ保憲様が行くことないのではないのでしょうか」 「いや、どうやら見に行った者がの、狂い死にしてもうたようでの。」 つまり演奏しているのは人でないようなのである。 「それで保憲様が羅城門までお行きになるのですね。」 博雅は納得したようである。 「おぉ!そうじゃ博雅殿。お主ちょっとそのもののところに行かんか?」 保憲としてはめんどうなので博雅に頼んで見てもらってから行こうとしているのである。 「私が?」 「うむ。お主が行って急を要すると判断すれば私が出る。がそんなに急でもなさそうなら・・・」 「しかし私に判断できますか?」 「見た様子を聞かせてくれれば良い。それだけじゃ。」 「はぁ。今夜行ったほうがよいのでしょうか?」 「うむ。どうせお主これから行く場所もとくにないのであろう?」 「まぁそうですが。」 「まぁ頼むぞ」 保憲は帰っていった。
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