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保憲の屋敷
ぎしっぎしっと牛車の音がする。
やがてその音がやみ保憲の屋敷に着いた。
屋敷につくまでの間二人のあいだにはただ沈黙だけが流れた。
屋敷に入ったあともその沈黙は続いた。
やがて晴明が口を開く。
「保憲様。」
「うむ。」
保憲とて並みの陰陽師ではない。
術による争いをすれば晴明にあっけなく負けると言うことはない。
が。この状態の晴明に勝てる自信もない。
そしてなによりこのことは保憲自信が引き起こしたに近いめんがある。
そんな意味合いで恐いのだ。
「博雅に何がありましたか?」
晴明が問う。切れ長の目が保憲をとらえる。
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