プロローグ:旅立ち

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 会場に着くと大勢の学生がひしめきあっていた。  だいたいは中高生だろう。  この祭りは親の参加も許可されていないので、小学生は少ないらしい。  あたりを見回したが確かに小学生らしい子は見当たらなかった。  俺は一瞬躊躇ったが人混みの中に足を踏み入れた。  一歩足を踏み入れると、もうそこからは自分の意思は関係無い。  人の波に呑まれ流され気がついたら広間のようなスペースにたっていた。  辺りを見回してみると至るところに屋台やゲーム台、はてはアニメグッズに至るまで様々な物が売られていて、驚くことに値段がほぼ無料のような額であった。  唯一そこにだけ首から関係者のいうカードをさげた大人たちがたっている。  俺はそれらの店を見たり入ったりしてエクストラバトラーズまでの時間を潰した。  何時間ぐらいたっただろうか?  不意に放送が流れだした。    『まもなく、エクストラバトラーズが開催されます。皆さんはセントラルまでお越しください。繰り返します。まもなく――――――』    すると、今まで開いていた店が一斉にしまった。  俺は何が起きたのかさっぱりわからなっかたが、周りの人はそうでもなかったようだ。  皆が同じ方向へ歩きだしたので、俺もそれについていった。  しばらくすると目の前に大きなドームが現れた。  東京ドームと同じかそれ以上の大きさだ。  入り口には大きくエクストラバスターズと書いてある。  どうやらここが会場のようだ。  先ほど店番をしていた人たちが必死に誘導している。  人数が人数なため相当大変そうだが10万人をしっかりと捌いてる手腕はさすがとしか言いようがない。  俺はドームに入る時、尊敬の念をこめて係員に軽く会釈した。  しかし、そこで見た物は、俺が想像していたものとはかけ離れていた。  そいつの目、それが映していたのが人間ではなかったのだ。  まるで俺たちが実験動物であるかのような蔑んだ眼差し。  俺はぞっとした。  このまま進めば何か良くないことがおきる、そう思った。  しかし、俺の意思など10万人のなかでは無いに等しい。  俺は流れに飲まれ、ドームの中に、あの地獄の入り口に連れて行かれたのだ。
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