0.5章:転送

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地面が膨大な量の光を発し始めてからはや5分。  俺たちの周りでは壁がオーロラのような光を発していること以外、特に変わったことはおきていなかった。  はじめは運営に対しての文句をわめいてる人や、動揺や不安の入り混じった声などがあがっていたが、いまや皆が地面に座りこみ先ほど声が聞こえてきたであろう天井へと視線を向けている。  この異常な状態がいつまで続くか分からない以上、むやみやたらに騒いでいても仕方がない。  俺も何がなんだか分からなかったが、皆と同様に頭上を見上げていた。  そのまま何分が過ぎただろうか。  たぶん1,2分ぐらいだと思う。  部屋に変化が生じ始めたのだ。  天井と床が歪み、どんどんと透明になっていく。  下を向くと雲の間から大陸らしきものがチラチラと見えた。  『えー、皆様、下に見えますのがこれから皆様が暮らしていただく世界、デュラカースでございます』  何分待ってもなかなか流れなかった放送がやっと流れ出したようだ。  もちろん皆、一斉に騒ぎ始めた。  しかし、今回の放送は何のリアクションも示す様子もない。  淡々と事務連絡のように必要事項を述べていく。  『デュラカースは皆様が俗に言う、異世界です。そのためこの世界には、地球との違いが多々存在します。なので、今から我々が調査し発覚した情報を皆様にお話させて頂きます。時間の関係上、一度しか伝達することが出来ませんので、くれぐれも聞き逃しがありませんようお願いします』  騒いでた人々は文句を言っても仕方がないと分かったのか、だんだんと放送に耳を傾けていった。  俺も一言も聞き逃さないように必死に頭を働かせた。
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