0.5章:転送

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 『まず、生活する上での注意点です。デュラカースには町や村といった小さな集落と王が支配している国が存在します。王都には武器や防具、服や生活用具など様々なものが販売されています。それに比べ、村や町はあまり商売が盛んではなく、その地域の特産品などを売って生計を立てているようです。先ほどの説明で武器や防具と言いましたがデュラカースにおいてこれらは必需品といっても過言ではありません。なぜならここには妖魔、妖怪、化け物、怪物と呼ばれる生物が存在しているためです。彼らはこの世界では魔物と呼ばれ、人々に恐れられています。個体や種族によって姿かたちはまるで違うため、脅威になるものからそうでないものまで様々な魔物が存在するようです。村や町、王都には、魔除けの術法がかけられているため、魔物は侵入することはありません。しかし、そこから一歩でも出れば、皆様の命は保証できません。そのため、自分の命は自分で守っていただく必要があるのです』  ふと周りを見ると、恐怖で震えだしている人が何人か見受けられた。  泣き出しそうな人もいるようだ。  しかし、そんなことにはまるで興味がないかのようのように話は淡々と進んでいく。  『ではどうやって敵から自分の身を守るのか。それは、魔物と戦って勝利するほかありません。しかし皆様はまだ学生。それではまともに戦うことすら出来ないでしょう。そこで我々はある機械を発明しました。その名は《gravity controller》です。我々はこちらの世界を研究している際、ある重大な事実を発見しました。それは重力が地球のそれとは異なっているという点です。地球上で質量が 1 kg の物体に作用する重力の強さというのは約 9.8 Nですが、デュラカースではなんとその1/6、つまり月と同程度の大きさしかないのです。よってそれをうまく操作できないか、そういった考えから生まれたのがGCなのです。』  「......重力をコントロール? 」  俺はそんな、まるでファンタジーの世界でしかありえないような機械の出現に驚きを隠せなかった。  それは俺だけではなかったらしく周りの人々もザワザワと騒がしくなっている。  アナウンスはさらに説明を続けた。
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