それはとても平凡な月曜日

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「昔からたまたまあったのか、誰かがわざとやったのかは分からないけど、迷惑だよね。ほんと」  溜息をつきながら、そろそろ夜勤明けで帰ってくるであろう弟の分の朝食を作ってラップを掛ける。 「あー、葵さんだめ。これは実のだからね」  ベーコンの匂いを嗅ぎつけた葵さんが足元にすり寄ってくるが、そう言い聞かせてラップを掛けた皿をローテーブルの上に置く。聞き分けのいい葵さんの事だから、置いといても手を出す事はないだろう。 『続いてのニュースです。一昨日発生した、インターネットカフェでの立てこもり事件で……』  ニュースが別のものに変わったところで、チャンネルを切り替える。そろそろ他局のニュース番組の占いコーナーが始まるころだ。 「あー、今いいとこだったのに」 「どこが」 『今日のラッキー星座はいて座♪ 仕事運が最高潮!』  ランキング一位はいて座、あれ、弘じゃないか。 「よかったね弘、今日は早く帰れるんじゃない?」 「……だといいけどなあ」  弘が配属されるプロジェクトは大体曲者揃いで、思った通りに行った事がないとよく聞いていた。星座占いの結果すら跳ねのけるのか、君の仕事場は。
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