それはとても平凡な月曜日

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『今日の最下位はてんびん座のあなた……。思わぬ落とし穴にはまりそう、落ち着いて周りに協力を求めてみて』  だんだんカウントダウンが下がって行って、最下位になったのはてんびん座。……やばい、僕じゃないか。 「ご愁傷様だな……」 「……実にメールしておこう」  葵さんのカリカリ買っておいてと、今帰り道であろう弟にメールを送る。占いで最下位になった日は、どうしても定時で帰れるかどうかが不安になるからだ。多くても困る訳ではないし、保険と言う奴だ。 「……あ。そろそろ出なきゃ」  占いが終わって8時を回ろうとしている。僕の職場はこのマンションから徒歩10分位の場所にある。今から出てゆっくり歩けば、余裕で間に合う所だ。  弘も同じく、職場は自転車で15分の距離にある。一番遠いのは、車で30分の実だろうか。どうでもいいや、さて出よう。 「僕、先に出るからね。鍵よろしく」 「おう。行ってこい」  控えていた上着と鞄を持って、玄関を出る。月曜日の朝、玄関前を掃除する管理人のおばさんへの挨拶も済ませて、まっすぐ職場へ向かう。  占いが最下位で悪い事が起きた事はないが、今日も何も起きない事を願おう。
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