1人が本棚に入れています
本棚に追加
6年3組。それが今日集まった、同窓会のメンバーだ。
全員で36人くらいのクラスだったが、今日はその全員が集まった訳ではない。地方へ引っ越して戻ってこれなかった子だったり、運悪く海外出張でいないだとか、連絡は付いたけれど多忙だとか、最悪音信不通の子もいたりで、半数も集まっていない。
しかもだ。集まったのは僕や山本さんのような地味系人間以外は、ほぼ全員マトモに職に就けているのかも他人ながら心配になるような奴らばかり。
案の定、数人未だに無職だというから本気で笑えない。
「あらぁ! 竹中君じゃなァい!」
「……そうですけど、どちら様ですか」
席を立った時、不意に声をかけられて反射的にそう返す。目の前には、いわゆるオネェという分類に入るであろう人物が一人。誰だっけ。こんな人クラスに居たっけ。
「永沢よ! 永沢雄太!」
「……ああ、自称エリートオカマのユウちゃん」
「そうよ、それよ!」
永沢雄太(ながさわゆうた)。小学生の頃、オカマごっこが一部の男子の中ではやり、その時に彼が名乗っていたのがエリートオカマのユウちゃん。
「……あれ?」
だけど、それはごっこ遊びの中でのことで、彼は至って普通の男の子だった筈だ。
「アンタが首をかしげるのは分かるわぁ。アタシね、性転換したのよ。だから、雄太じゃなくて優子よ!」
つまり、ごっこ遊びでオカマだった彼は、今は立派なニューハーフというものでございまして。名前も女性のものになっちゃったわけでございまして。
「……」
なんとなく身の危険を感じた僕は、そそくさとトイレに向かおうとする。
「ちょっとぉ、アタシの話を聞きなさいよ!」
何だこのオカマ。
最初のコメントを投稿しよう!