壹章

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「お兄様起きてください」 微かに声がする。 冬の朝は相変わらず寒い。 起きなければならないこともわかっている。 でも起きれない時、それもよくわかっている。 「お兄様、私のキスで目覚めてください」 「のわぁぁああああ!!」 自ら布団を剥がしとり、壁に頭突きする。 「起きたから!起きてるから!」 俺が叫ぶと、妹はニコニコしながら、小テーブルの上に積み重ねられた本を手に取った。 「お兄様が起きれなかったのは、これのせいですか?」 妹の手には姉物や姐御肌系のエロ本が。 「違います!違います!」 妹の黒く長い髪が逆立っているように見えた。 「でもこれは没収ですね」 妹は積まれたエロ本を魔法で燃やし始める。 「お宝が…」 力無く膝を付く俺。 厄日だ。 勝ち誇る妹に俺は屈服するしか無かった。
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