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時刻は真夜中。
真っ暗な草原に、血の海が広がる。
―――…お願い、あたしを一人にしないで…。
まるで子供のように涙を流しながらあたしは願った。
彼女を…愛里[アイリ]を助けて欲しいと。自分は何も望まないから愛里だけは救って欲しいと。
でも――もう手遅れだ。
真っ赤な真っ赤な血が止まらない。次から次から溢れだし、愛里の服を真紅に染めた。
ドクンドクンと動く心臓の音が終わりを告げるように小さくなっていく。
嫌だ。逝かないで。
仲間の大切さを知ったあたしは貴女がいなければ生きていけないんだよ。
たとえ自分だけが生きのびても、貴女がいないとあたしの心は死ぬのと同じ。
愛里とあたしは二人で一つ。貴女が消えればあたしも消えるんだ。
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