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「どうしてそう思うんだ?」
「だってそうだろ?最初から乱戦で殺り合えば良かったじゃねぇか。ちょっと街を爆破されちまったくらいで承諾して、ゆっくり一人一人戦ったんだぜ。全員でダレオスに飛びかかれば爆弾のスイッチだって取れただろうにさ」
剣武帝の言っている事も分からないでもない。でもそれなら必ず誰かが傷つく事になっただろう。おそらく魁はそれを嫌った筈だ。そしてそれに全員が同意した。
「そんな確率の低い」
「ま、そんな話どうでもいいわ。俺はお前とやれればそれでいい」
剣武帝は言いたい事だけ言って、ローブを脱ぎ捨てる。背格好は俺と同じくらいだ。年齢的にもそこまで差があるようには思わない。七武帝の他の連中に比べたら圧倒的に若い。薄い緑色の髪は長く、肩付近で纏めて縛られている。そこまでガチガチに鍛えてるってわけでもなさそうだ。装備もどちらかと言えば俺と似たような軽装備だし。
それにしても勝手な奴だ。
「さて、始めるか」
剣武帝が、腰に下げた剣を抜く。派手な装飾が成された剣だ。手入れもしっかりとされているようで刃こぼれもない。太さはダレオスの細剣よりも太めで、その体つきには似合わない。
俺も合わせて刀を抜いた。
今はコイツに勝つ事を考えよう。それしか俺にはない。
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