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「避けてばっかじゃん。もっと出てこいよ」
剣武帝は物足りないと言わんばかりに遮二無二に剣を振ってくる。俺は魔力を脚にためて後ろに飛びながらその剣の様子を見ていた。そして気付く。
「風か」
俺は自分の中で出た結論を呟く。もし魔法で今みたいな事が出来るとしたら風系統の魔法しかないだろう。本人の移動速度だけなら雷って可能性もあるが、それだとあの剣の重さの説明にならない。さっき槍武帝がやったように剣に風を纏わせ、それを薄くしているとしたら地面を割ったのも納得がいった。
「もう気付いたのか。観察力はあるらしいな」
剣武帝がそう言うとあからさまに剣武帝の魔力が剣に集まっているのが見えるようになる。抑えるのをやめたんだろう。だとしても今のが魔法なんだったら、詠唱も無しに発動したって事か。厄介だな。
「俺のこの風はちょっと特別製だ。受け間違えたら死ぬかもな」
確かにかなりの魔力だ。あの風を外側に向けるだけでかなりの凶器になるだろう。もしそれも出来るとしたらすぐには対抗策が浮かばない。
「考えは纏まったか?」
剣武帝は数メートルはあった距離を一歩でつめてくる。魔力の操作に無駄がない。俺は咄嗟過ぎて剣武帝の剣を刀で受け止めるしかなかった。
これは俺も魔力を抑えてる場合じゃないかも知れない。
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