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「俺のこの状態の剣を刀一本で受け止めるか。やっぱお前ごっついわ」
剣武帝の体重の乗った斬撃に俺の刀の方が震えだす。このまま鍔迫り合いをするわけにはいかんな。
それにしてもコイツ、長い事浮き過ぎな気がする。俺の事を上から押さえつけてるとは言え、体の方は地面に向かわないとおかしいだろ。俺は刀を引きながら下がる。同時に剣武帝の足元を見ていた。
「浮いてる」
俺は思わず口にした。俺という支えを失っても剣武帝の体は宙に浮いたままだ。
「ち、これにももう気付くのかよ。俺の技、分かりやす過ぎか?」
剣武帝はバレたら仕方ないと言わんばかりに、体を浮かせて見せる。これも詠唱をされた覚えはない。チスイ達のように、魔法名だけ唱える詠唱破棄なら分からないでもない。しかしコイツはそれすらもない。完全なる詠唱破棄だ。それでここまで高度な魔法を使いこなせるもんなんだろうか。
「何か考えてるみたいだし、一つ良い事を教えてやるよ」
「何?」
「俺のこれ、ちゃんとした魔法じゃないんだ、わ」
剣武帝は風に乗るように俺に突進してきて剣を振るう。俺が後ろに避けると、突風が起こって俺は弾き飛ばされた。
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