双龍と力

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なんとか足から地面に着地する。今のは剣を振った軌道を追うように風が起こった。剣を振るたびにこんな風にされたら、反撃のしようがないな。 「螺旋風破(ラセンフウハ)」 剣武帝の初めて聞いた詠唱らしい詠唱に俺は態勢を整えて構える。剣武帝が距離を詰める事無く剣を地面に向かって振ると、その軌道を追うように風が起こって、その風が俺めがけて飛んでくる。これって俺の。 「雷魔法、速身電変(ソクシンデンヘン)」 俺の口から渋い声がして、魔法が発動する。俺が思い切り右にステップを踏むと、速身電変の影響で、その距離が延びて剣武帝の魔法を避ける。 「雷龍」 「悪かったの。ようやく声が通ったようだ」 頭の中に響く雷龍の声。そう言えばいままで雷龍の声が聞こえなかったな。そんな事考える余裕もなかった。 「随分と無茶苦茶な奴だな」 雷龍の呟きは今の俺の思いそのものだ。それに今、剣武帝が使ったのは俺の雷龍破と同じ形だ。俺が使って見せたわけじゃないから真似って事はないんだが、これじゃあ間接的に雷龍破を破られたも同じだ。 ここまで防戦一方。なんとかして前に出ないと、勝ち目はない。
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