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「んじゃそろそろ本気で殺り合おうよ。これ以上退屈にさせられたら俺、他の人殺しに行っちゃうよ?」
「安心しろよ。そんな暇与えねぇから」
黒炎龍の方から動き出す。最初の剣武帝の攻撃のように、正面から剣武帝に突っ込んでいく。
「速っ」
剣武帝はその速度に驚いたようだが、俺自身も驚いている。速身電変の効果が残っているとは思うけど、それにしたってこんなに速かったか?
黒炎龍が抜刀術の要領で刀を振り抜く。剣武帝は辛うじてそれを避けるが、宙に残った髪が僅かに切れた。風を纏う時間すらも与えなかったんだろう。
「まだまだ、こんなもんじゃねーぜ」
黒炎龍は、振り抜いた刀を下段に下げて振り上げる。今度は、剣武帝も風で防いだらしく刀は弾かれる。
「なるほどな。んじゃ本番いくか」
黒炎龍が俺の魔力を抑える量を変える。俺の体の周りに風が起こり始める。
俺の風は剣武帝の風と違い、外に向かって吹いていく。剣武帝はその風を自身に風を纏う事で防いでいた。
「お前も風を?」
「おぅ。同じもん同士仲良くしようや」
黒炎龍は溢れ出る風を制御して、その風の全てを剣武帝に向ける。剣武帝の起こす風は俺の体から巻き起こる風さえも吸収して大きな風になっていく。風を纏う力と風を発する力。その力が重なって俺の体と剣武帝の体を覆い隠すように、一つの大きな風が生まれた。
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