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「んだよ、これ」
剣武帝は思ったように風が制御出来ないからか、辺りをきょろきょろしている。
「あんたの風を纏う力に俺の風を乗せたんだ。ちょっと調整は面倒だけどな。これで自由には風を使えないだろ」
俺が雷龍に言われた方法。それをいとも簡単にやってしまう黒炎龍。属性は違えどその力は凄まじいな。
「でもそれはお前も同じだろ?剣と刀で勝負をつけようっての?」
「いやぁ?残念だけど俺の属性は風じゃないんだわ」
黒炎龍の言葉に呼応するように、俺の体から出る風が変わる。今までのが、緑っぽいイメージだったとすればこの風はドス黒い。黒炎そのものを示していた。
「悪いけど、俺も上手く加減は出来ねぇからな。死ぬんじゃねぇぞ」
俺の体から出た黒い風は、やがて俺と剣武帝を包む風の中に吸い込まれていく。緑が徐々に黒く変わっていき、やがて黒く燃え始める。
「なんだ、これ。俺の風が」
「気をつけろよ。この風、お前に向かって吹いてるんだからさ」
「やばっ」
剣武帝は慌てて風を出すのをやめる。もしそうしなければ剣武帝の周りにも黒炎が舞い上がっていただろう。
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