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「おい、変わんぞ」
黒炎龍からの呼び掛けに答える間もなく、俺の意識に自由が戻る。改めて状況を見ると俺達を包んでいた風は既に消えていて、剣武帝は仰向けに倒れていた。
俺はゆっくり近付いてみる。まさか死んでるなんて事はないよな。
「安心しろ。死んじゃいない。まぁ最後の風の壁が無かったらヤバかったと思うけどな」
黒炎龍の声に合わせるように剣武帝は、ピクリと体を動かした。
「そうか。良かった」
安心したら、急に体から力が抜ける。
「仁!!」
倒れそうになった俺をチスイが駆け寄ってきて支えてくれた。その後ろにはレーラも来ている。
「悪い」
「大丈夫なの?途中から物凄かったけど」
「あぁ、大丈夫」
答えながらも何か込み上がってくる物を感じて、思わず吐いた。それは血だった。ダメージを受けた感じはないから、おそらくあの症状だろう。
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