本命と終結

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「ん」 「あ、起きた?」 重たい瞼を開けると、目の前にチスイの顔があった。俺はチスイに膝枕された状態で眠っていたらしい。体を起そうとすると全身を気だるさが襲ってくる。 「まだ動かない方がいいよ。また倒れたんだから」 あの症状か。黒炎龍に体を渡した時から意識出来てなかったもんな。こんな事なら戦う前にでもレーラに血を抜いてもらえばよかった。 俺は重たい頭だけを動かして辺りの様子を伺う。ルトンや他の連中もまだそれぞれ倒れたままだ。唯一剣武帝だけその姿が見えなかった。 「アイツは?」 「仁と戦った奴の事?あたしと戦ったのが連れて外に出てったよ」 槍武帝が?そいや槍武帝も風使いだったな。もしかしたら元からの仲間とかだったりするのかも知れない。 「魁達は?」 「まだ戻ってないよ」 俺がどれだけ眠っていたのか分からないけど、まだ戻らないのか。俺が戦っていた時間を考えてもどれだけ離れていたとしても、もう一号の場所には付いているだろう。 「行かないと」 俺は重たい体を引きずり起こす。こんな状態の俺でも行けばチスイ達が一緒に来てくれる。戦力になる筈だ。 「仁、待って。それ」 上半身を起こした俺にチスイが声を掛けてくる。チスイを見ると俺の手元を指差している。そちらに視線を送ると、俺の刀がボロボロになってしまっていた。
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