1554人が本棚に入れています
本棚に追加
/462ページ
黒炎龍の使った黒炎龍破の影響だろう。あんな魔力を纏えばこうなるのは至極当然な気がする。
「それでも行くの?」
「行くさ。最悪、魔法だけでも戦えるしな」
今の状態の俺に出来るかは分からないが、それでもいい。とにかく行かないといけない。そんな気がした。
「仁がそう言うなら止めないけど、また倒れるようなら流石に」
悲しそうな表情を見せるチスイ。その表情からは純粋に俺への心配が伺える。こんな表情も出来るんだな。
「分かった。無理はしない」
立ち上がった俺はチスイの頭に手を置いてそう言った。
立ち上がって改めて辺りを見渡すとレーラの姿が見えない事に気付いた。
「そういえばレーラは?」
「仁の血を抜いた後、先に行かせた。何かあれば呼びに来る筈なんだけど」
まだ戻ってこないって事は、戻れない何かがあったのか、魁達の戦闘に加わった可能性もあるな。どっちにしても早く行かないと。
俺はボロボロになった刀を鞘に収めると、開きっぱなしになっているダレオスや魁達が進んだ通路の方に体を向けた。
速身電変を使ったから雷龍は寝てしまっているだろう。黒炎龍はまた力を貸してくれるか分からないし、刀もない。まるで両手をもがれたような気分だな。
それでも俺は行く。行かないといけない。
俺はチスイが立ち上がったのを確認すると、重たい足を持ち上げて先に進んだ。
最初のコメントを投稿しよう!