夜行タクシー

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最近、ここいらで増えている行方不明者は、一体どこへ行ってしまったのか。 その答えを知っているのは、世界中、いや、地球中を探しても、この俺1人だろう。 午前4時、いつもの肌寒い夜に、煙草の煙がたゆたう。背をもたれ、白いタクシーを撫でる。 これが俺の愛車だ。ただし白いのは外と座席だけ。ボンネットを一度開けると、血生臭いにおいと、赤茶色いシミが広がっている。 俺が血を見て性的興奮を抱いたのは高校の頃だったか。ムカつく奴を殴ったら、唇から赤い血が流れていて、俺は震えが止まらなかった。なにも恐怖で震えていた訳じゃない、そこには紛れもない快楽と、興奮があった。 それから何人…人を殺しては山に棄てただろうか。 「いい月だ」 煙草の灰を地面に落とし、空を見上げた。 本日も快晴、絶好の殺人日和だったはずだ。 タクシーに乗せて、人気の無い場所まで行って、殺して、山に棄てる。 簡単なことだ。毎日行う歯磨きや風呂と同じ。 しかし、今日は違った。今日の獲物は、あろうことか殺人犯だったのだ。 俺はフッと笑い、白いタクシーに乗り込んだ。 夜行タクシー
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