夜行タクシー

4/7
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「お客さん、今まで何人の人間を殺しましたか?」 静かな夜。エンジンの音だけが鳴り響くこの空間に射し込んだ、確かな声が、前方より聞こえた。 田所は口をつぐんでいた。余りにも想像と掛け離れた展開に、頭を整理出来なかった。 気づけば、自分は何故かナイフを握る力が抜け、安堵までしていた。 「俺はもう数えきれない程の人間を殺したよ。このタクシーは深夜しか走らなくてね、乗せた客は全員行方不明になってるだ…。フッ、何でだろうな?」 そう、こいつは自分と同じだから。 そのまま、ゆっくりとタクシーは発進し、奇妙なドライブが始まりを告げた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!