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「お客さん、今まで何人の人間を殺しましたか?」
静かな夜。エンジンの音だけが鳴り響くこの空間に射し込んだ、確かな声が、前方より聞こえた。
田所は口をつぐんでいた。余りにも想像と掛け離れた展開に、頭を整理出来なかった。
気づけば、自分は何故かナイフを握る力が抜け、安堵までしていた。
「俺はもう数えきれない程の人間を殺したよ。このタクシーは深夜しか走らなくてね、乗せた客は全員行方不明になってるだ…。フッ、何でだろうな?」
そう、こいつは自分と同じだから。
そのまま、ゆっくりとタクシーは発進し、奇妙なドライブが始まりを告げた。
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