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人の流れに乗り、主観的に見てその他大勢の生徒達に紛れて昇降口へと向かう。
靴を履き替え、ここでようやく幾分か人の散った昇降口から外へと踏み出した。
じきに秋も終わる。その証拠というように、突然吹いた木枯らしに木の葉が巻き上げられた。目の前を過った木の葉につられて、すっかり枯れた木の葉、そしてその発生源へと視線を向けた。
「…………」
視線の先に存在するのは、寸前を舞い上がった木の葉のように意外性を持つものではなく、何の変哲もないただの枯れ木だった。元から期待をしていたわけではなかったが、それでも肩透かしを食らったような奇妙な落胆を覚え、葉月はそれを振り払うようにすぐさま前方へと視線を戻した。そのまま寮へと向かう―――――
『おーい、明人』
聞き覚えのある声を耳にし、葉月は動きを止めた。聞き覚えがあると言っても知り合い等ではない、一方的に葉月が向こうのことを知っているのだ。何故なら、
『勇太郎、遅いぞー! ほら、零士も何か言っちゃえ言っちまえーっ!』
『いや、急に走り出す奴が悪いと思うが』
『まさかの裏切り!?』
声の主は極致正義戦闘部隊の花形、ウルティマレンジャーの三人なのだから。
ウルティマレンジャーの三人は、中等部敷地のすぐ傍を歩いていた。進行方向を見る限り、どうやら寮に向かっているようだ。
『レッド様、素敵! あんなに格好いいと、幼女からおばあさんまで全員恋に落ちちゃうに違いないわ! くぅ、競争率が激しいわね!』
『レッド様も格好いいけど、イエロー様のあの無邪気な笑顔の方が素敵に決まってるわよ! ああん、イエロー様、餌付けしたい……!』
『ブルーさん、やっぱかっけぇな……オレも、いつかああなりてえなぁ』
有名人との突然の遭遇に、周囲が徐々にざわめきを帯びる。![image=471641708.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/471641708.jpg?width=800&format=jpg)
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