雪道

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 新幹線をおりて、さらに知らないローカル線に乗り換えて。 流石に単線ということは無かったが、東京では見慣れ無い光景が広がっていた。 「あの、このバスは、新田って方面に向かいますか?」  駅で帰宅途中のオジサンに声をかけると、ちょっと迷惑そうな顔で、それでも都内ではないくらい丁寧に教えてくれた。 「このバスじゃむりだね。1時間後にくる、公民館行きのに乗りなさい。 途中の新田というバス停の近くだろう」 「ありがとうございました!」  ”どこまで行っても150円で乗れるから”  そう言って、オジサンはバスに乗って行ってしまった。  山に囲まれた静かな町に、更に音を消していくかのように雪が降る。  駅前だっていうのに、コンビニも見つからない。  タクシーに乗ろうと思っても、そのタクシーが一台も止まっていない。  何も持ってこなかったから、勿論傘だってない。  駅舎という駅舎も無くて、屋根のついた改札に、一応と言える程度に、二台の改札機が並んでいる。  ほとんど外と変わらない状況で、雪が凌げる程度。勿論、ベンチは冷たい。 「…ばか、凛」  こんな所に来て、何が大丈夫だ。  念の為確認したバスの時刻表だって、1時間に1本しかなかった。  朝の通勤の時間にだって、2本しかない。  それも、左回り、右回りって、なんだよ。  どんなセンスだよ??  外は寒くて、耳が痛いくらいで。 こんなところに、引っ越してきて。  せっかく出来た友達とも別れて。  3年生の、この時期に…。  辛くないわけなんて、ない。
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