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寒くて、凍えるかと思った頃にようやく来たバスに乗り込み、それから揺られること30分。
”…30分乗っててしかも、俺一人しかいないで、150円って、大丈夫なのか?”
すでに時計は10時を回っていた。
ローカルバスには、俺一人しか乗ってなくて、見知らぬ奴がいることが不思議なのか、運転手が声をかけてきた。
「どこで降りますか?」
「えっと、新田ってとこで」
「ああ、あと5分くらいですよ。
そのあと、バスはありませんが、大丈夫ですか?」
「え・・・・・」
帰りのことなど考えていなかった。
雪道とはいえ、バスで35分。
雪の降る、知らない道。
いくら雪明りで明るいからと言って、どこまでが道で、どこまでがそうでないかが分からない。
冗談じゃなく、遭難出来る気がする。
日本の、地方とはいえ、山ではない平地で!、だ。
「まぁ、住んでいる方は、みなさん車を持ってますから、大丈夫ですよ。
このバスに乗られる方も、基本的に免許を持っていない若い学生さんや、免許を返還したお年寄りの方々ですから」
運転手がそういうと、バスは細い路地へと曲がっていく。
ここまで来ると、どうにかなる、という過信は消えた。
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