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電柱や看板を見れば、住所くらいわかると思っていたが、この雪の中では見えない可能性が高い。
あてにしていた携帯のマップ機能もほとんど通用しない。
……地方だからって、ざっぱ過ぎるんだよ!と、怒りたくなったが、多分この雪の下に広がるのは田畑だ。
ある程度の道さえ乗っていれば、細かい地図なんて不要だ。
細かくしたって、たぶん、一面全部田んぼだ。
「あの。最近、引っ越してきた、間宮って、家、どこだか分かりますか?」
多少情けなくはあるが、正直に尋ねてみた。
「間宮さん?」
「あの、高校3年の、女の子がいるウチで、住所は、新田の二丁目って書いてあって」
「新田2ですか。・・・・ああ、野宮さんの家ですか。最近、お孫さんと一緒に戻ってきたと言ってましたね」
やっぱり、通じたよ。
流石、学生のほか、ジジババを乗せてるバスの運転手。
聞きたくなくても、話しかけられこともあるのだろう。
きっと、どうして二人が戻ってきたのかも知ってる。
ついでに、そこの娘に若い男が会いに来たとか、変な噂たてられたりしねぇと良いケド。
この質問をいままで誰にもぶつけなかったのはそのせいだ。
地図さえあればたどり着けるという過信は、すでに打ち砕かれた。
そして帰りのバスはない。
ここで凛の家にたどり着けないとなると、その時点で遭難が確定する。
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