4/11
前へ
/39ページ
次へ
「お風呂、ありがとうございました」 「随分、顔色が良くなった。 気づいてなかったかもしれないけど、随分青白い顔してたよう。 低体温になってると困るから、先に風呂に入ってもらったのよ」 「あ・・・。すみません、気を使っていただいて」 「いえいえ。 浩之さんは、凛ちゃんを心配して来てくれたんでしょう? そんな大事なお客様を、そのままにしておくわけにはいかないでしょう」  それから勧められるままに、蕪の鶏肉あんかけだのカボチャの煮物だのといった、温かい料理を食べた。  こういう料理は、久しぶりだった。 「じゃぁ、浩之さん。明日、洋子が帰ってきたら車で駅まで送ってもらって。  今日は客間でお休みなさい」 「あ、本当に、何から何まで済みません! 突然お邪魔したのに、こんなにしていただいて・・・・。 本当に、ありがとうございます」 「いいの、いいの。 ・・・・凛ちゃんが、こんなに嬉しそうなんだもの。 私たちからも、ありがとうね」 「え?」  明日の雪かきがあるからと、部屋に戻ったお爺さんとお婆さんに礼を告げ、改めて、目の前の凛に目を向けた。 「よう。」 「・・・・・よう」  中学まではショートだった髪が、緩やかに肩を覆っている。  丸みを帯びた頬や、いつも日に焼けたような健康的な肌は、すっきりとした、白いそれに変わっていた。 「お前、また凄いところに引っ越してきたなぁ」 「な。しょうがないじゃない。両親離婚しちゃったんだから」 「ふ~ん。ここから学校までどうやって行ってんの?」 「自転車で20分のところに高校があるよ。 今は、自転車無理だから、バスに乗ってる」 「ああ、あの右回り、左回りとかいう」 「そうそう」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加