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「お風呂、ありがとうございました」
「随分、顔色が良くなった。
気づいてなかったかもしれないけど、随分青白い顔してたよう。
低体温になってると困るから、先に風呂に入ってもらったのよ」
「あ・・・。すみません、気を使っていただいて」
「いえいえ。
浩之さんは、凛ちゃんを心配して来てくれたんでしょう?
そんな大事なお客様を、そのままにしておくわけにはいかないでしょう」
それから勧められるままに、蕪の鶏肉あんかけだのカボチャの煮物だのといった、温かい料理を食べた。
こういう料理は、久しぶりだった。
「じゃぁ、浩之さん。明日、洋子が帰ってきたら車で駅まで送ってもらって。
今日は客間でお休みなさい」
「あ、本当に、何から何まで済みません!
突然お邪魔したのに、こんなにしていただいて・・・・。
本当に、ありがとうございます」
「いいの、いいの。
・・・・凛ちゃんが、こんなに嬉しそうなんだもの。
私たちからも、ありがとうね」
「え?」
明日の雪かきがあるからと、部屋に戻ったお爺さんとお婆さんに礼を告げ、改めて、目の前の凛に目を向けた。
「よう。」
「・・・・・よう」
中学まではショートだった髪が、緩やかに肩を覆っている。
丸みを帯びた頬や、いつも日に焼けたような健康的な肌は、すっきりとした、白いそれに変わっていた。
「お前、また凄いところに引っ越してきたなぁ」
「な。しょうがないじゃない。両親離婚しちゃったんだから」
「ふ~ん。ここから学校までどうやって行ってんの?」
「自転車で20分のところに高校があるよ。
今は、自転車無理だから、バスに乗ってる」
「ああ、あの右回り、左回りとかいう」
「そうそう」
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