4人が本棚に入れています
本棚に追加
「へぇ~、なんか、良いな。そういうの」
「うん、なんか、いいよね」
コンビニの無い、バスも1時間に1本しかない田舎町。
だからこそ、人と人とが繋がっていて、あたたかい。
「俺、こなくても、本当に大丈夫だったかもな」
だって、ここにいたら、一人じゃない。
気の良い運転手や、あたたかい祖父母がいる。
もしかしたら、都内で一人で冷えた飯を食ってる俺より、恵まれてるかもしれない。
「・・・・・・・・・・・・・・
そんなこと、ない」
今まで顔を上げていた凛が、俯いてしまった。
長く伸びた髪がカーテンのように表情を覆い隠してしまう。
「凛」
「・・・・嬉しかった」
手を伸ばして、髪の毛を耳にかけてやる。
その手を捉えたまま、凛が顔を上げた。
「本当は、ずっと寂しかった!
本当は、引越しなんかしたくなかった!
前の学校で、友達も出来たのに!
これから受験だねって、別の大学に行っても友達でいようねって!
受験が終わったら、また遊びに行こうねって言ってたのに!」
「凛」
「文化祭も、体育祭も、いっぱい思い出もあったけど、
でもね、
でも、そこには浩之が居なかった!
いなかったんだよう!!!!」
顔をくしゃくしゃにして、小さなガキみたいに泣きじゃくる。
最初のコメントを投稿しよう!