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「それで、お前、文系なの?理系なの?」
「は?」
「お前の手紙のせいで、俺んなかで消化不良なこと沢山あるんだよ。
それから、俺の体調聞いてくんのは、まあ礼儀として。
自分が元気かどうかくらい書けよ。
あと、時候の挨拶とか、拝啓、敬具とかいらねぇから!
ったく、同い年だってのに、そんな気ぃつかって書いてくるなよな」
「え、あ、はい」
「バスケもやめたって言ってたけど、あれだって、本当は後悔してんだろ?」
「・・・・・うん」
凛の母親は、看護師だ。
夜勤があったり、仕事内容がハードらしく、家のことは昔から凛が手伝ていたのは知っていた。
引っ越して、どの段階で父親が出て行ったのかは分からない。
でも、気ぃつかいの凛のことだから、部活に入らなかったのはそれも原因の一つだろう。
母親が出来ない分、代わりに家のことをやろうと決意したのだ。
なんでもかんでも我慢して、全部飲み込んできた凛。
手紙に書いてくることは、サラリとした表面だけ。
本当は、もっと言いたいこともあっただろうに、それも全部我慢して。
文章に書いたって、それが本当になるわけじゃないのに・・・。
「・・・・うぅ、おばあちゃん、浩之がいじめる~」
「おま、っ、いくら部屋に戻ってるからって、人聞きの悪いこと言うなよ!」
「だって。・・・・・こんなに泣いたの久しぶりだもん。
浩之が泣かせたんだ~」
「・・・・・あ~~~~。
分かったから、泣け泣け。
俺が泣かせてるってことにして、思う存分泣いとけ」
泣き止まない凛と尻目に、ずずっと味噌汁を啜る。
泣きたいなら泣けばいい。
人様の幸せを涙を堪えているよりは、その方がずっと高校生らしい。
「あ~~。味噌汁が上手い」
「それ、作ったの私」
「え?ばあちゃんじゃねぇの!?」
そうして、寒くて、温かくて、賑やかな夜はふけていった。
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