4人が本棚に入れています
本棚に追加
「凛ちゃんからの手紙、まだかしらね?」
「・・・・うるせぇよ」
「ああ、怖い怖い。
ウチも息子じゃなくて、凛ちゃんみたいな可愛い女の子だったら良かったな~」
「勝手に言ってろよ」
しばらくは、家族でもそんな話をしていた。
凛は母親のお気に入りで、手紙が届くたびに、どんな内容だったのかとせっついてくる。
…はがき だってのに、内容を読まずにいてくれるのは、ありがたかったし、特に大したことは書いていなかったので、親にも見せた。
「せっかくだから、フォルダーに入れてとっておきましょうか!」
そう言って買ってきたのは、年賀状用と書かれた、分厚いフォルダーだった。
「・・・・こんなに来ねえって」
「来ると良いな~って、お母さんが思ったの!」
だから、手紙は綺麗なままで、きちんと消印順に並べられてとってある。
3年目の1月からのフォルダーがスカスカで、俺よりも母やフォルーダの方が、次の手紙を待っているように思えた。
そして、凛の名前が出ることも無くなり。
こうして人は忘れられていくのかと、感傷的になった秋が過ぎ。
12月の寒い日に、一通の封書が届いた―――。
最初のコメントを投稿しよう!