手紙

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「凛ちゃんからの手紙、まだかしらね?」 「・・・・うるせぇよ」 「ああ、怖い怖い。 ウチも息子じゃなくて、凛ちゃんみたいな可愛い女の子だったら良かったな~」 「勝手に言ってろよ」  しばらくは、家族でもそんな話をしていた。  凛は母親のお気に入りで、手紙が届くたびに、どんな内容だったのかとせっついてくる。  …はがき だってのに、内容を読まずにいてくれるのは、ありがたかったし、特に大したことは書いていなかったので、親にも見せた。 「せっかくだから、フォルダーに入れてとっておきましょうか!」  そう言って買ってきたのは、年賀状用と書かれた、分厚いフォルダーだった。 「・・・・こんなに来ねえって」 「来ると良いな~って、お母さんが思ったの!」  だから、手紙は綺麗なままで、きちんと消印順に並べられてとってある。  3年目の1月からのフォルダーがスカスカで、俺よりも母やフォルーダの方が、次の手紙を待っているように思えた。  そして、凛の名前が出ることも無くなり。  こうして人は忘れられていくのかと、感傷的になった秋が過ぎ。    12月の寒い日に、一通の封書が届いた―――。
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