0人が本棚に入れています
本棚に追加
■■■
歯を磨き、顔を洗い、学制服に着替えると時計は午前6時22分。
学生服に着替えたけど、学校には行かない。
そういう気分だから。
ぼくが女じゃなくて良かったと思った。
「化粧なんて加わったらぼくの早起きは寝坊と変わらないよな?」
と、独り暮らしなの誰かに訊いてみる。
「まあ、高校生で朝化粧をする人は多くないか」
と、
一人で納得して、
一人で相槌(あいづち)をうんうん、と打つ。
ギギギ、と鳴る。独り暮らしの古びたアパートの戸を開けるのは好きだった。
もっと良い場所があるだろ、それとなく示唆された事もあった、
変わっている、と揶揄されたこともあった。
しかし何故かこの空間はぼくに妙な安心感を与えていた。この古めかしさ。良く言ってみたが、何かこの、ぼろっちさが単純に性に合う。
最初のコメントを投稿しよう!