ひな祭り

11/11
前へ
/11ページ
次へ
「――――よかった」 私はほっとした。 妻として母親として、二人に最後の手助けが出来たのだから。 私はもうこの世界には戻ってこれない。 その前に亮太の奏に対する憎悪を消し去りたかった。 よかった。あなたが気づいてくれて。 そう、私はあの娘を産んだ事を一度も後悔していない。 奏は大切な宝物だから。 もう私は奏の事を助けてあげられないけど、亮太がいれば大丈夫だよね? ああ、もう帰らなきゃ。 最後に……一つだけ…… 亮太、奏。 二人に出会えてよかった…… 「私おだいり様を作ってみたよ!」 「凄いな奏!(俺のお雛様と似てる……これって遺伝?)」 「ごめんなさい……お酢入れる量間違えちゃった……」 「だ、大丈夫だって!食えない事ないから!(酸っぱい……このおっちょこちょいぶりは愛菜譲りか)」 「奏」 「ん? お父さんなに?」 「お前と出会えてよかった」 「?」 「……もうこんな時間か。今日は久々にいっしょに寝るか奏」 「うん!」 ―完―
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加