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「――――よかった」
私はほっとした。
妻として母親として、二人に最後の手助けが出来たのだから。
私はもうこの世界には戻ってこれない。
その前に亮太の奏に対する憎悪を消し去りたかった。
よかった。あなたが気づいてくれて。
そう、私はあの娘を産んだ事を一度も後悔していない。
奏は大切な宝物だから。
もう私は奏の事を助けてあげられないけど、亮太がいれば大丈夫だよね?
ああ、もう帰らなきゃ。
最後に……一つだけ……
亮太、奏。
二人に出会えてよかった……
「私おだいり様を作ってみたよ!」
「凄いな奏!(俺のお雛様と似てる……これって遺伝?)」
「ごめんなさい……お酢入れる量間違えちゃった……」
「だ、大丈夫だって!食えない事ないから!(酸っぱい……このおっちょこちょいぶりは愛菜譲りか)」
「奏」
「ん? お父さんなに?」
「お前と出会えてよかった」
「?」
「……もうこんな時間か。今日は久々にいっしょに寝るか奏」
「うん!」
―完―
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