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――――翌朝
「…………は!やべえ!俺いつの間に寝ちゃってた!会社に遅刻し……って今日休みだったな……」
机に突っ伏して寝たせいか頭が痛い。
「愛菜は、いないか……」
俺はふと机の上にある手作りのお雛様に目をやった。
数時間もかけたのに出来が酷い。
これをもらって奏が喜ぶものだろうか?
そんな疑問を抱きつつ、奏の部屋に向かった。
ドアを数回叩き、奏に呼びかけた。
「奏、起きてるか?」
「ん……お父さん?」
起きたばかりなのだろう、とても眠たそうな顔をしている。
「きょ、今日ひな祭りだからさ、奏に……これを……」
そういって例のお雛様を奏に差し出した。
奏はそれをじっと見つめている。
気に入らなかった、かな?
昨日冷たく突き放したからまともに視線を合わせられなかった。
「お父さん」
奏の声でようやく視線を合わせる。
奏は俺の顔を見て、
「ありがとう……とっても嬉しい!!」
とびっきりの笑顔で俺にお礼を言った。
それを見た俺は、
「…………奏」
「お父さん? わっ!?」
奏を力強く抱きしめた。
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