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「…レティーシア・ヴィルカント。元帥だからといって調子に乗るなよ。僕たちも暇じゃない、待たせるような事をするな。」
ほら、早速噛み付いてきた。
愉快過ぎて口角が上がるのを抑えきれない。
噂では私をライバル視しているとのことだが、ただ単に嫌っているだけだと思うが。
「それはすまないな、ラシエル・アエリアル隊長。次は気を付けよう。」
とりあえず形だけでも反省した振りをしておく。
これをしておかないと後でまたネチネチしつこく言われるのがオチだからな。
周りを見渡せばラシエルに呆れた眼差しを向ける者、明らかに早く終わらせて欲しそうにしている者がいる。
今日はこれぐらいでいいか。
「他に報告は無いな?ではこれで定例会議を終了する。我がクラウディア王国に栄光あれ!」
右手を左胸の前に掲げる敬礼の形をとれば、それに少しだけ遅れて全員敬礼を返す。
これで会議も終了だ。どうせ執務室に変えれば書類に追われるんだが。
ふう、と息を吐く。
両手を頭上に掲げてストレッチをするとポニーテールにした銀色の髪が揺れた。
久しく戦場に出ていない、今日は久々に実践演習の相手でもするか。
ああでも書類……、まあ何とかなるだろ。
いろいろと考えていたら視界に影が落ちた。
「よおレティ。さっさと出て行かねえと閉められちまうぞ。」
低いテノールボイス。つられて顔を上げればリオンの姿があった。
「何だリオンか。いいんだよ、私はここのトップなんだから誰も逆らえないしな。」
「ったく…しょうがねえな。今頃執務室でお前の飼い犬が1人寂しく待ってんだろ?」
「ああそうだったな…。お前を待たすのは別にいいが可愛い犬を待たせるわけにもいかんしな。」
「…お前は俺を何だと認識してんだよ。」
「年下を誑かすのが趣味の変態ヒゲ面男。」
「…………。」
ほらな。当たってるからぐうの音も出ないだろ?
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