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因みにこの国の軍人のトップは私だが、魔法師のトップはまた別の人間だ。
その者たちは『賢者』と呼ばれ、代々4人というのが掟だ。
素性や能力は一切知られておらず、そのあまりの魔力故に城の最も奥に住んでいる。
時には王族の政治に助言をし、災害などを未然に防ぐ。
聖クラウディア王国を裏から支えているといっても過言ではない。
私自身も元帥に就任してから、継承式で1度見かけたきりだ。
深くローブを被っており性別すら分からなかったが、まあ関わらないに越したことは無い。
さて、そろそろ執務室に着く頃だ。
どうせ午前中は書類に埋もれて終わるんだ。
ならさっさと抜け出して私の指揮する隊に顔でも出したほうが…
「駄目ですよ、レティ様。今日は書類が溜まっているんですから。」
「っウィリス!…そんなことをするわけないだろう?大体誰がいつそんなことを…。」
「しっかり声に出ていましたよ?それじゃなくてもよく仕事を抜け出していってしまうのですから。」
…反論の余地がない。
目があからさまに泳いでしまうが知るかそんなこと。
ちらりと相手の様子を窺えばいつも通りの頬笑みを浮かべたウィリスが。
こいつは私の補佐としての仕事は良くこなすんだが…、怒らせてはいけない人物ダントツのナンバーワンだ。
「…もう書類はごめんだ。剣の腕がなまったらどうしてくれる。」
「大丈夫です。レティ様が本気を出せば3時間と少しで片付きますから。コーヒーいくらでも淹れるので頑張ってください。」
「…ならやってやってもいい。」
情けないと思ったのならいくらでも言え。
ウィリスのコーヒーはこの国で1番美味いんだ。
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