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ビンセントはいつ、彼女のことに気づくだろうか、いや、きっと気づかない。ビンセントとはそういう男だ。
「楽しくなってきたか?」
ジェームズがディランの頭に手をのせてきた。その手は暖かい。
「はい。」
「そりゃ、よかった。」
ジェームズにぽんぽんと叩かれたディランの頭にまたリークの姿が思い起こされた。前よりも少し大きくなっていた体に重み。会うのはずいぶんと久しぶりなのに、リークは自分を忘れてはいなかった。
やっぱりここに来てよかった。
「リーク。」
その名をつぶやくディランの表情は、自分でも気づかないうちに優しい微笑みを浮かべていた。
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