壊れていく国

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アリス ~アビスの墓場 東部にて~ 兵隊に死者を問いかけるイムの横顔は、ニッコリと微笑んでいるものの少しだけ悲しさを感じた気がした イムが魔法…魔法なのか? なんにせよ、不思議な力を使ってドアを出現させた 彼に案内され、中に入れば賑やかな街とは違い、人々が剣や槍を持ち戦っている 建物も壊滅的… 地には何人もの人が倒れている そして土に滲んだ血… 僕はあまりの光景に言葉がでず、立ちすくんでしまった 「どうですか?1つのコンクリートを抜ければ、別世界。おや、こんなに震えてしまわれて…」 そう言う彼は僕の肩に腕を回し、引き寄せてくれた 「な…お前は怖くないの…かよ…っ」 「そりゃあ、初めて見た時は怖かったですよ。それに…この戦いが憎かった」 「憎い…?」 「いえ、なんでもありません」 僕と目線を逸らす彼に僕は疑問を覚えた 「この国に住んでいる限り、皆この戦いに挑まなければならないのですよ。今も昔も。今街で見かけている老人のほとんどは、歴代女王様に仕えていた人ばかり…だから生き残っている。子供は将来、女王に仕ると判断しない限り……年をとるに連れ、悪夢に近づいていくのです」 僕は彼の説明でほんの少し、この国を理解できた気がした だけど、なぜ戦わなくてはいけないんだろう… その時だ…僕達の前で戦っていた若者達を風のように切っていく奴が僕目掛けて向かってきた カキ―ンッ!!!! 目の前で重なり合った、剣に僕は滝のように汗を流した あと少しで死ぬところだったかもしれない 重なり合った剣の一つは横から伸びたイムのもの、もう一つは…
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